歯の健康と審美性に
こだわりたい方のための
補綴治療 Prosthesis
補綴(ほてつ)とは、何らかの理由で歯が欠けたりなくなったりした際に、詰め物や被せ物などの人工物で補うことをいいます。これにより、噛む機能を取り戻すのに加え、噛み合わせを調節して、周りの歯や顎の骨にかかる負担を分散することができます。 補綴治療では選ぶ素材によって、虫歯の再発リスクを低減させることが可能です。例えば、 自由診療で使用するセメントは唾液や経年による劣化が少なく、隙間ができにくいというメリットがあります。
特にオールセラミックやE-max、ハイブリッドセラミック、ゴールドなどは形成がしやすく、天然歯にぴったりと合う補綴物の作製が期待できます。 せっかく虫歯を治療したのに数年で再発してしまうのでは、天然歯をどんどんけずることになります。将来へ向けてより多くの歯を残すためにも、補綴治療にこだわってみてはいかがでしょうか。
歯科治療と金属アレルギーの
関係性とは?
金属アレルギーと歯科治療には一見関わりがなさそうに思えるかもしれません。 しかし、実は治療に使われている詰め物や被せ物、被せ物の土台に使われたコアなどに金属が使われていると、アレルギー症状の原因となっている可能性があります。 金属アレルギーの症状は多岐にわたりますし、口内だけでなく全身に影響します。そのため、原因が口内にある金属だと気が付けないことも少なくないようです。下記は金属アレルギーの主な症状です。
- 口内炎
- 味覚異常
- 発疹
- かゆみ
- 頭痛
- めまい
- 消化不良
- 手足の水膨れ
- 身体のだるさ
これらの症状に心当たりのある方は、一度金属アレルギーの検査を受けてみてください。アレルギー反応が検出されましたら、歯科医院で金属をノンメタル素材に入れ替えることによって、症状を緩和できる可能性があります。
補綴物の種類
オールセミラック All ceramic
オールセラミックは歯に近い強度を持ち、しっかりとメンテナンスをしていれば長期間にわたって使用できる素材です。金属を一切含まないことから、金属アレルギーのある患者さまにもご利用いただけます。天然歯に近い色調を再現できる色の幅と、光を通す透明感があることからお口になじみやすく、主に前歯の治療に使われています。
メリット Merit
- 審美性が高い
- 歯に近い硬さと耐久性がある
- 変色がほぼなく、歯茎の変色も起きない
- 表面が滑沢で汚れが付きにくい
- 金属アレルギーのリスクがない
デメリット Demerit
- 咬合力が強いと割れる
- 自由診療で費用が高額
- 歯を削る量が多くなる
- 体質に適さないケースがある
ハイブリッドセラミック Hybrid ceramic
ハイブリッドセラミックは、歯科治療用のプラスチックへセラミックの粉末を加えることにより、強度・耐久性を増した素材です。金属を一切含まないことから、金属アレルギーのある患者さまも利用できます。一部の歯に保険適用で使えるため、保険で白い素材を使いたい方にもご案内しています。
メリット Merit
- 白くて治療部分が目立ちにくい
- 柔らかく、噛み合う歯を傷つけにくい
- レジンと比べて強度と耐久性が高い
- 金属アレルギーのリスクがない
- 費用が比較的安価
デメリット Demerit
- 咬合力が強いと割れる
- 他のセラミック素材と比べて審美性に劣る
- 変色のリスクがある
- 保険適用外の場合は費用が高額になる
- 体質に適さないケースがある
ジルコニア Zirconia
ジルコニアは二酸化ジルコニウムや人工ダイヤモンドとも呼ばれる、セラミック素材の中でも圧倒的に高い強度と耐久性のある素材です。金属を一切含まないことから、金属アレルギーのある患者さまにもご利用いただけます。色は白いのですが、オールセラミックやE-maxなどと比べると審美性に劣るため、主に外から見えにくい奥歯の治療で用いられています。
メリット Merit
- 審美性が高い
- 強度が高く、割れにくい
- 耐久性が高く、長持ちする
- 変色がほぼなく、歯茎の変色も起きない
- 表面が滑沢で汚れが付きにくい
- 金属アレルギーのリスクがない
デメリット Demerit
- 咬合力が強すぎると割れる
- 噛み合う歯がダメージを受ける可能性もある
- 自由診療で費用が高額
- 硬すぎて研磨・調整が難しい
- 歯を削る量が多くなる
- 体質に適さないケースがある
E-max Ceramic
E-maxはセラミックの一種で、ガラスセラミックを強化した歯科治療用の素材です。オールセラミックを抜いて審美性が高く、耐久性も3倍~4倍と、天然歯とほぼ同水準の堅さがあります。ジルコニアのように硬すぎる素材だと噛み合う天然歯が傷ついてしまうのに対し、E-maxは周りの歯を傷つける心配がほぼありません。
メリット Merit
- オールセラミックよりも審美性が高い
- 歯とほぼ同程度の堅さがある
- 耐久性が高く、長持ちする
- 変色がほぼなく、歯茎の変色も起きない
- 表面が滑沢で汚れが付きにくい
- 金属アレルギーのリスクがない
デメリット Demerit
- 咬合力が強すぎると割れる
- 奥歯の治療には適さないケースがある
- 自由診療で費用が高額
- 歯を削る量が多くなる
- 体質に適さないケースがある
ゴールド Gold
ゴールドは金の割合が75%(18カラット)の素材です。金は人体への親和性が高く、金属アレルギーのリスクも低いことから、よほど過敏な方でなければ症状が現れることがない傾向があります。強度は十分にありますが柔らかさも持ち合わせており、噛む力が強くて補綴物が割れてしまう方や歯ぎしりの癖がある方にもご利用いただけます。
なお、奥歯を形成するために歯を一部削る必要があります。個人差により、強い力が加わるとごく稀に割れたり外れたりする可能性があります。金アレルギーをお持ちの方は使用できません。
メリット Merit
- 歯に近い耐久性がある
- 歯を削る量が少ない
- 展延性があり、自然に噛み合わせが合う
- 二次カリエスになりにくい
- 金属アレルギーのリスクが低い
デメリット Demerit
- 自由診療で費用が高額
- 体質に適さないケースがある
- 金属色が強く、審美性に劣る
- 歯を一部削る必要がある
- 強い力で割れたり外れることがある